抵抗を合わせても速い信号が小さくなるのはなぜか
一言でいうと
終端抵抗が合っていても、入力ピンの容量は速い信号の成分を小さくします。今回は、伝送線路の往復の時間を測る代わりに、短い接続を集中定数のRC回路に単純化し、周波数ごとの大きさと位相をあわせて読みます。複素応答を実際のngspiceで生成してから、通過帯域に対する相対的な帯域幅を求めます。このモデルは、長い線路の反射を説明しません。
なぜ必要なのか
前のラボでは、負荷を抵抗1つで表しました。実際の入力には、電荷をためる性質もあるので、負荷抵抗が同じでも、速く変化する入力への応答が変わります。抵抗だけを合わせて、すべての問題が解決したと考えると、信号が十分に速く追従できない場合を見落とします。逆に、周波数解析の結果の最初のゲインがすでに−6dBだからといって、帯域幅がないと判断するのも誤りです。DCの分圧と、周波数による追加の減衰は、別の現象です。何を基準にdBを計算したのかを、まず決める必要があります。
どう動くのか
回路は、入力の電圧源 → ソース抵抗Rs → 受信ノードです。受信ノードで、負荷抵抗RLとピンのコンデンサーCが、それぞれ接地に接続されます。線路の遅延・インダクタンス・非線形の保護回路は入れません。コンデンサーはDCでは開放になるので、DCゲインH0はRL/(Rs+RL)です。時定数を決める抵抗は、Rs単独でもRs+RLでもなく、並列抵抗Rth=Rs×RL/(Rs+RL)です。独立した電圧源を0にしたとき、コンデンサーが接地側に見る2つの抵抗を描いてみると、理由がわかります。
極の周波数はfc=1/(2πRthC)で、H(f)=H0/(1+jf/fc)です。CをpFで入力したなら、計算で1e−12を掛けてFに換算します。Rs=RL=50Ω、C=20pFなら、Rth=25Ω、H0=0.5、fc≈318.31MHzです。fcでの絶対的な大きさは約0.35355で、位相は−45度です。ゲインは絶対的な基準で約−9.0309dBですが、H0に対しては約−3.0103dBです。−3をそのまましきい値に使うと、この分圧回路の通過帯域は見つかりません。
シミュレーターはAC入力を1にするので、出力の複素電圧が伝達関数と同じになります。表のhre・himは実部・虚部であり、2つの別々の信号ではありません。大きさはsqrt(hre²+him²)、電圧ゲインのdBは20log10(大きさ)、位相はatan2(him,hre)で計算して、度に換算します。実部だけを大きさとして使ったり、電圧比に10log10を使ったりすると、別の物理量を計算することになります。atanの代わりにatan2を使うと、象限も保たれます。
周波数グリッドと判定の基準
1MHzから10GHzまで、decadeごとに40点で計算すると、端点を含めて161個です。このグリッドの中間の周波数は、算術平均ではなく幾何平均です。たとえば1MHzと100MHzの間の、対数軸の中間は10MHzです。このラボの帯域幅の抽出は、dBとlog10(f)の間を直線で補間します。一方、指定した周波数の複素応答は、同じ対数軸で実部と虚部をそれぞれ補間します。補間の方式も、結果の定義に含まれます。
最初の下降区間でH0を基準にした半電力のしきい値を探し、観測した区間に交差がなければNoneのままにします。最初からしきい値の下にある表で、最初の周波数を帯域幅だとでっち上げてはいけません。ngspiceが正常に終了していても、全体のグリッド・複素モデルとの一致・実験の規格は、別に確認します。とくに、虚部の符号だけを反転させると、大きさと帯域幅は同じでも位相が誤るので、大きさだけを比べる検証はその誤りを見落とします。
現場での姿
ここで決める規格は、帯域幅200MHz以上、100MHzでの相対ゲイン−0.5dB以上、位相−20度以上です。学習用の判定であり、特定のバスの規格やデータ速度の認証ではありません。50Ω/50Ω/20pFの条件は、相対ゲインが約−0.409dB、位相が約−17.44度で、この条件を満たしますが、Cが40pFになると、帯域幅とほかの条件も悪くなります。Rsを下げると帯域幅が大きくなることがありますが、前に学んだ線路の整合は悪化することがあります。1つの集中定数モデルでの良い結果を、ボード全体の良い設計に広げない理由です。
異なるソース抵抗を比べるときは、ゲインと速度を1つの数字にまとめません。たとえば、RL=50ΩとC=20pFを保ったまま、Rsを50Ωから25Ωに減らすと、DCゲインは0.5から約0.667へ、極は約318MHzから477MHzへと、あわせて変わります。出力の振幅だけを見ると、改善の原因が分圧なのか、周波数による減衰なのかを区別できません。まず、H/H0で正規化した大きさを比べ、位相の遅れを別に読んでください。容量を減らす選択は、同じ抵抗の条件でのDC分圧を変えないので、ソース抵抗を変える選択とは効果が異なります。実験の報告書には、変えた変数と固定した変数をあわせて書き、因果関係をたどれるようにします。
次のラボですること
予測式、TSVのパーサー、大きさ・位相、帯域幅の抽出、周波数の補間、観測の検証、6つの条件の実験を、順に実装します。報告書には失敗した条件も残し、回路・生の応答・エンジンのログを保存します。入力の設定を変えて観測に合わせたり、誤った波形を正解の式に置き換えたりしません。実物の測定ではないので、measuredは常にfalseです。
公式の根拠: ngspiceマニュアルのAC解析とwrdata。 文書は最新版に変わることがあり、このラボはイメージに固定されたngspice 42で、実行して検証します。