プロローグ — なぜ「フォーム」という小さな宇宙は終わらないのか
2026年でも人々はフォームを作り続けている。イベントの参加申込、履歴書の受付、顧客満足度アンケート、ベータ版のウェイトリスト、社内の休暇申請、決済直前の配送先入力 — どんな会社でも月に最低1〜2個はフォームを作る。そして「ただのフォームなのに、なぜこんなにツールが多いんだ?」という疑問は終わらない。
答えはシンプルだ。「フォーム」という言葉が意味するものが多すぎる。マーケターのフォームと開発者のフォームはまったく別のツールを使う。個人のサイドプロジェクトのフォームとエンタープライズHRのフォームは価格帯もワークフローも違う。モバイルアプリ内の決済フォームと、会議後に送る満足度フォームは、そもそも別の技術スタックを持つ。
この記事は2026年現在のフォームツール全体の地図を描く。SaaSビルダー・無料の覇者・開発者向けバックエンド・JAMstackネイティブ・JSライブラリ — まず4つの陣営に分け、その中で誰が何が得意で何が苦手かを見る。14章、500行ほど。次回フォームを作るとき「今回は何を使う?」という5分の迷いを減らすことが目的だ。
主な変化は3つ。
- Tallyが無料陣営の覇者になった。 無制限のフォーム・無制限の回答・無制限のフィールド — この組み合わせを持つツールは事実上ない。2025年にシードラウンドをクローズし、ベルギーで運営されている。
- AIフォームロジックが標準になりつつある。 Typeform AI Logic・Tally AI Logic・JotForm AI Formsはすべて「前の回答に応じて次の質問を動的に生成する」を核にしている。
- React Hook Formがクライアントフォームの標準になった。 Formikは事実上レガシー。Next.jsのServer ActionsとRHFの組み合わせが2026年の新規プロジェクトのデフォルトだ。
では始めよう。
1章 · 2026年フォームビルダー地図 — 4つの陣営
ツールを一列に並べると比較ができない。まず4つの陣営に分けよう。
| 陣営 | コアモデル | 代表的ツール |
|---|---|---|
| SaaSフォームビルダー | UIで作り、ホスティングも提供 | Typeform, JotForm, Paperform, FillOut, Wufoo, Cognito Forms, MakeForms |
| 無料デフォルト | 大きなプラットフォームの付属物 | Google Forms, Microsoft Forms, Tally (無料モデル) |
| 開発者向けフォームバックエンド | 自分でHTMLを書き、送信のみ受ける | Formspree, Formspark, Basin, Netlify Forms, Cloudflare Forms |
| JSライブラリ (アプリ内フォーム) | アプリ内のフォームコンポーネント | React Hook Form, Formik, TanStack Form |
この分類は完璧ではない。Tallyは1と2に同時にまたがる(無料 + SaaS)。Webflow FormsとHubSpot Formsは4陣営のどれにもぴったり当てはまらない(CMS埋め込み型)。Survicate・SurveyMonkeyは1に近いが「アンケート特化」というもう一つの軸を持つ。
それでも、この4陣営を頭に入れてツールを見ると違いが見える。誰がフォームを作り、誰が受け取り、どこにホスティングされ、データはどこに流れるか — この4つの質問への答えがそのまま陣営になる。
SaaSフォームビルダーの本質は「非開発者がドラッグ&ドロップで作り、ホスティングまで提供される」だ。Typeform・JotForm・Paperformはすべて本質的に同じ。URL1つでフォームを共有し、回答が自動でダッシュボードに溜まる。差別化要素はデザイントーン・価格・統合(integration)・回答数の上限。
無料デフォルトは「すでに使っている大きなプラットフォームにおまけで付くフォーム」だ。Google FormsはWorkspace、Microsoft Formsは365。どちらも無料だがデザインの自由度と結果の可視化は平凡。Tallyは違う。別会社だが無料モデルを無制限まで押し進めた。
開発者向けフォームバックエンドは陣営が全く違う。フォームUIは自分でHTML/Reactで作り、<form action="..."> のaction URLだけをバックエンドが提供する。回答はメール・Slack・Webhookに流れる。デザイン自由度は最大、ロックインは最小。
JSライブラリはまた別の世界。フォームがアプリの一部であるとき — 会員登録、設定、決済 — 別ホスティングのフォームではなくアプリ内のコンポーネントが必要。React Hook Formが事実上の標準だ。
2章 · Typeform — 会話型フォームのデザイン王者
Typeformは2012年にスペインのバルセロナで始まった。「1回に1つの質問を見せる会話型フォーム」というシンプルなアイデアでSurveyMonkey・Google Formsの全盛期を打ち破った。2026年現在は米国のプライベートエクイティThoma Bravoのポートフォリオ内にあり、2024年に追加の資金ラウンドをクローズした。
長所は明確だ。
- デザイントーンが圧倒的。 1ページに1つの質問、大きなフォント、滑らかな遷移。一般的なフォームに比べて回答率が1.5〜2倍という事例が多い。
- AIロジック(Typeform AI)が強い。 回答内容に応じて次の質問を動的に生成、または回答要約を自動作成。
- 統合(integration)が最も多い。 Salesforce・HubSpot・Notion・Slack・Webflow — 主要なSaaSはほぼすべて直接連携可能。
短所も明確だ。
- 高い。 Basicは月額$25からだが回答上限は100件。本格的に使うにはPlus(月額$50、回答1000件)またはBusiness(月額$83)から。
- 回答上限がすぐ埋まる。 マーケティングキャンペーン1回で月の上限を使い切ることが多い。
- データセキュリティポリシーがエンタープライズ寄り。 小さなチームはデータ保持・削除ポリシーで詰まることがある。
いつTypeformを選ぶか? 回答率がビジネスに直結する場面 — メールキャプチャ、ベータ版ウェイトリスト、イベント申込。デザイントーンがブランドに直結するD2C企業、そして回答を他のSaaSに流す必要があるマーケティングチーム。
いつ避けるか? 回答数が多い一般アンケート(従業員満足度など) — 単価コストが爆発する。データを自分でコントロールする必要がある場合。
3章 · Tally — 無制限無料の覇者(ベルギー)
Tallyは2021年にベルギーで始まった小さな会社だ。2025年にシードラウンドをクローズしたが、ビジネスモデルは依然としてシンプル。無制限のフォーム、無制限の回答、無制限のフィールド、無制限のユーザー — 無料。 有料(Tally Pro、月額$29)はカスタムドメイン、ファイルアップロード上限の拡張、回答の部分保存などの付加機能のみ提供。
このモデルがなぜ可能か? Tallyは小さなチーム(2026年時点で10人前後)で運営され、インフラがシンプルで、マーケティング費用がほぼゼロ(口コミ)。そして無料ユーザーのデータを広告に売らない(GDPR出身のベルギー企業という大きな信頼要素)。
長所はシンプル。
- 無制限無料。 個人のサイドプロジェクトから小さな非営利団体まで事実上永遠に無料。
- Notion風のUI。 スラッシュコマンドでフィールド追加、マークダウン対応、豊富なキーボードショートカット。
- ロジックジャンプと計算式が無料プランに含まれる。 他のツールは通常有料機能。
- AI Logicが2025年にリリース。 回答に応じて次の質問を自動生成。
短所もある。
- デザイン自由度がTypeform・Paperformより低い。 トーンは一貫しているが「自分のブランドカラー」にしにくい。
- 結果の可視化が平凡。 回答をCSVでエクスポートして別のツールで分析するのが普通。
- エンタープライズ機能(SSO・監査ログ)が弱い。 大企業向けではない。
いつTallyを選ぶか? 個人・小さなチーム・非営利、回答数が多くデザインが平凡でも構わないすべての場面。ベータ版ウェイトリスト、イベント申込、コンテンツ購読、サイドプロジェクトの「Contact Us」フォーム — ほぼどこでも。
いつ避けるか? ブランドデザインが絶対的なD2Cマーケティング、エンタープライズのセキュリティ・監査要件がある場所。
4章 · Formspree — 開発者向けフォームバックエンドの元祖
Formspreeは2014年に始まった最も古い「フォームバックエンド」サービスだ。仕組みはシンプル。HTMLフォームの action 属性にFormspreeのURLを入れると、フォーム送信がFormspreeサーバーに送られ、そこからメール・Webhookに転送される。
<form action="https://formspree.io/f/YOUR_FORM_ID" method="POST">
<input type="email" name="email" required />
<textarea name="message" required></textarea>
<button type="submit">Send</button>
</form>
これだけ。フォームUIは自分のReact/HTMLで作り、バックエンドはFormspreeが処理する。
長所は明確だ。
- 開発者にとって最も自然。 「別のフォームビルダー」を学ぶ必要がない。HTML1行を変えるだけ。
- 無料プランが合理的。 月50送信まで無料、それ以上は月額$15から。
- スパムフィルター(reCAPTCHA・honeypot)がビルトイン。 AJAX送信、ファイルアップロード、自動返信メールすべて対応。
- WebhookとSlack連携がすぐに使える。
短所もある。
- UIを自分で作る必要がある。 非開発者には絵に描いた餅。
- 回答結果ダッシュボードが平凡。 Typeformのような可視化はない。
いつFormspreeを選ぶか? Next.js・Astro・Hugo・Jekyllのような静的サイトの「Contact Us」「Subscribe」フォーム。開発者がフォームを描き、回答だけメールで受けたいとき。
類似サービスにFormspark、Basin、Static Formsがある。価格は同様のレンジ(月額25)だが、無料枠と付加機能が少しずつ異なる。
5章 · JotForm · Wufoo — クラシックSaaSビルダー
JotFormは2006年からある。Wufooは2006年に始まり、2011年にSurveyMonkeyに買収された。両者ともフォームビルダーの「第一世代」だ。
JotFormの強みは圧倒的な機能の幅。
- 決済処理 — Stripe・PayPal・Square直接統合、フォーム内で決済完了まで。
- HIPAAコンプライアンス — 米国医療分野のフォームで最も使われる。
- PDF自動生成 — フォーム回答をPDF領収書/契約書に自動変換。
- モバイルアプリ — JotForm Mobileでオフライン回答収集(イベントブースなど)。
価格は 無料プラン(月100送信)、Bronze月額$34、Silver月額$39、Gold月額$99。JotFormは価格対比の機能量が圧倒的。
Wufooの強みは安定性と整ったUI。2006年から大きな問題なく動いてきたフォームビルダー。しかしSurveyMonkey買収後は新機能の追加がほぼ止まっている。2026年現在、Wufooを新規で選ぶ会社はほぼない。
いつJotFormを選ぶか? 決済・PDF・HIPAAのいずれかが必要な場合。医療、非営利、小規模ビジネスの決済フォーム。
いつWufooを選ぶか? すでに使っているなら継続。新規ならほかの選択肢を見る。
6章 · Google Forms · Microsoft Forms — 無料デフォルトの双子
両ツールの本質は同じ。すでにGoogle WorkspaceまたはMicrosoft 365を使っているなら、追加費用なしで即座にフォームを作れる。 回答は自動でSheets/Excelに流れ、権限は会社ドメイン基準で管理される。
Google Forms
- 無料、無制限のフォーム/回答。
- Google Sheetsへ自動回答保存。
- Workspaceユーザーへの社内フォームとして最も自然。
- デザイン自由度は非常に低い。
- Geminiが統合され、フォーム自動生成可能(2025年ベータ)。
Microsoft Forms
- Microsoft 365に含まれる。
- Excel・Power Automate連携。
- 学校・教育分野で最も使われる(MS教育ライセンス)。
- Copilot連携でフォーム分析の自動化が可能。
- デザイン自由度はGoogle Formsと同程度。
いつ選ぶか? 社内フォーム(休暇申請、満足度調査、ランチアンケートなど)ならほぼ常にどちらかが正解。外部に見せるフォーム(ランディングページ、マーケティングキャンペーン)には不向き — ブランドトーンが合わない。
7章 · Webflow Forms · HubSpot Forms — CMS埋め込み型
この2つは「フォームのためのツール」ではなく、すでに別の大きなツールを使っているときにその中に入っているフォームだ。
Webflow Forms
- Webflow CMSで作ったサイトならフォームは事実上無料(Webflowプラン内に含まれる)。
- 回答はWebflowダッシュボードに保存、またはWebhookで他へ。
- フォームデザインはWebflow Designerで100%自由。
- 短所: Webflow外では使えない。
HubSpot Forms
- HubSpot CRMに統合されたフォーム。
- 回答が即座にHubSpot Contactとなり、マーケティング自動化に接続。
- Lead Scoring、Smart Forms(プログレッシブプロファイリング)など高度な機能。
- 無料プランにフォーム含む、本格利用はMarketing Hub Starter(月額$20)から。
いつ選ぶか? すでにWebflowまたはHubSpotを使っているなら迷わず内蔵フォームを使う。別のツールを追加する費用・複雑性のほうが通常大きい。
8章 · FillOut · Paperform · MakeForms — デザイン重視の新世代
この3つは2020〜2024年に登場した「次世代フォームビルダー」。Typeformよりデザイン自由度が高い、Notion・Airtableとの統合が強い、またはマルチページフォームが強い。
FillOut
- Notion・Airtable統合が最強。フォーム回答を即座にNotion DBやAirtableに行として追加。
- マルチページ・条件分岐ロジックが強力。
- 無料プラン(月1000送信)、Pro月額$25から。
- 「Notionファースト」のチームに圧倒的に適合。
Paperform
- デザイン自由度が圧倒的。事実上「フォームという形のランディングページ」を作れる。
- 決済(Stripe)統合、予約(booking)フォーム、マルチページ、条件分岐。
- オーストラリア・メルボルンの企業。価格はEssentials月額$32から。
- デザイン自由度が最優先ならPaperform。
MakeForms
- 2023年に登場した新興ツール。フォーム内に決済・予約・CRMをまとめる。
- 価格が安い(Starter月額$12)。
- 統合の幅はまだ狭いが、価格対比の機能性が良い。
いつ選ぶか? NotionチームならFillOut。デザインが絶対ならPaperform。安く始めたい小さなチームならMakeForms。
9章 · Survicate · SurveyMonkey · Cognito Forms — アンケート特化
フォームとアンケート(survey)は似ているが違う。アンケートは回答分析が核心、フォームは回答収集が核心。
SurveyMonkey
- 1999年スタート。フォーム/アンケートツールの化石級元祖。
- NPS・Likert・マトリックスなど標準アンケート項目ライブラリが最大。
- 回答分析ツール(フィルター・クロス集計)が最も精緻。
- 価格はTeam Advantage月額$25/ユーザーから。
- 学術・市場調査分野で依然標準。
Survicate
- ポーランドの企業。「アプリ内アンケート」が得意分野。ウェブサイト/アプリ内にウィジェットで表示してユーザーに尋ねる。
- NPS・CSAT・CESなどのマイクロアンケートに最適化。
- 価格はEssential月額$99から。対象はSaaS企業。
Cognito Forms
- 米国企業。決済・計算フォーム・繰り返しフィールド(repeating sections)が強い。
- 非営利・宗教団体・小規模ビジネスで人気。
- 無料プランが手厚い(月500送信)、Pro月額$15から。
いつ選ぶか? 学術アンケート = SurveyMonkey。SaaS内のNPSウィジェット = Survicate。非営利・小規模ビジネスの計算フォーム = Cognito。
10章 · React Hook Form (RHF) — JSライブラリの標準
ここから陣営が違う。アプリ内のフォーム — 会員登録、設定、決済 — は外部のSaaSフォームでは賄えない。直接Reactコンポーネントとして作る必要がある。
2026年時点でReact Hook Form(RHF)が事実上の標準だ。ダウンロード数でFormikを超えたのが2022年、2026年現在のnpm週間ダウンロードは約1000万回を超える。
コアコードはこんな形。
import { useForm } from 'react-hook-form'
function ContactForm() {
const { register, handleSubmit, formState: { errors } } = useForm()
const onSubmit = (data) => {
console.log(data)
}
return (
<form onSubmit={handleSubmit(onSubmit)}>
<input {...register('email', { required: true })} />
{errors.email && <span>Email is required</span>}
<button type="submit">Submit</button>
</form>
)
}
長所は明確。
- レンダリングが少ない。 Formikはすべてのキー入力ごとにフォーム全体が再レンダリングされるが、RHFは変更されたフィールドのみ再レンダリング。
- バンドルサイズが小さい。 依存関係なし。gzip後約9KB。
- Zod・Yupなどスキーマ検証ライブラリと滑らかに統合。
@hookform/resolvers1行。 - Server Actionsと相性がいい。 Next.js 14+のform actionにそのまま接続可能。
短所もある。
registerAPIが最初は馴染みにくい。 Formikの明示的な Field モデルより抽象化が1段階高い。- 制御コンポーネントライブラリ(一部のMaterial-UI)と統合する際は
Controllerでラップする必要がある。
いつRHFを選ぶか? 新規Reactプロジェクトのフォームは事実上ほぼ常にRHFが正解。Next.js、Remix、Astroどこでも。
11章 · Formik · TanStack Form · Formspark · Basin — その他の選択肢
Formik
- 2018年頃のReactフォーム標準だった。Jared Palmerが作り、一時期はすべてのチュートリアルがFormikベースだった。
- 2026年時点でメンテナンスモード。新機能はほぼなく、RHFにほぼすべての分野で押されている。
- 既存プロジェクトがFormikなら移行は通常価値がない。新規プロジェクトはRHF。
TanStack Form
- TanStack(React Queryを作ったチーム)の作品。2024年に1.0 GA。
- TypeScript優先の設計が圧巻。フォームスキーマからフィールド名まですべて型推論。
- RHFよりユーザー数は少ないが、「TypeScriptフルスタック」陣営で急速に成長中。
Formspark · Basin
- どちらもFormspreeのような「フォームバックエンド」サービス。
- Formspark: 個人運営者。シンプルで安い(永久ライセンスモデルもある)。
- Basin: 同様のポジション。月500送信無料、Proは月額$12から。
12章 · Netlify Forms · Cloudflare Forms — JAMstackネイティブ
Netlify Forms
- Netlifyにホスティングされたサイトなら、HTMLフォームに
data-netlify="true"属性を付けるだけ。 - 回答は自動でNetlifyダッシュボードに保存、メール/Webhook通知。
- 無料プラン(月100送信)、Proから無制限。
- 短所: Netlifyホスティングに依存。
<form name="contact" data-netlify="true">
<input type="email" name="email" />
<button type="submit">Send</button>
</form>
Cloudflare Forms
- 2025年に正式GA。Cloudflare Pages/Workersにホスティングされたサイトのフォーム受付を無料で提供。
- 回答はCloudflareダッシュボードとR2/D1に流れる。
- Turnstile(CloudflareのreCAPTCHA代替)がビルトイン。
- 無料、Workers Paidプラン内で送信上限が大きい。
いつ選ぶか? Netlifyにホスティングするならネットフライ Forms。Cloudflareにホスティングするなら Cloudflare Forms。両方とも「すでにインフラがそこにあるから、追加ツールなしでフォームを受け取ろう」が本質。
13章 · Formie · フォームツールのCMSプラグイン陣営
WordPress・Craft CMS・Drupalのような伝統的CMSにはフォームプラグイン陣営が別にある。
- Gravity Forms (WordPress): 最も古く最も強力。決済・CRM・自動化統合。
- Formidable Forms (WordPress): データ表示・View機能が強い。
- WPForms (WordPress): 初心者向けUI。
- Formie (Craft CMS): Craft CMSの標準フォームプラグイン。
- Webform (Drupal): Drupal陣営の標準。
これらのツールは「CMSの上にフォームを乗せる」点でSaaSフォームと本質が違う。回答がCMSのデータベースに保存され、フォームがサイトと同じホスティング上で動く。
いつ選ぶか? サイトがすでにWordPress・Craft・Drupalなら迷わずその中のフォームプラグインを使う。別のSaaSフォームビルダーは通常過剰。
14章 · AI in フォーム — Typeform AI · Tally AI Logic · JotForm AI
2025年からフォームビルダーにAIが本格的に入った。3つのパターンがある。
1. AIフォーム生成 — 「顧客満足度フォームを作って」のような自然言語プロンプトでフォーム自動生成。
- Typeform AI: 最も洗練。トーン・長さ・質問タイプを調整可能。
- Tally AI: 無料ユーザーにも一部提供。
- JotForm AI Forms: 決済・HIPAAなどJotForm特化機能をAIで自動設定。
2. AI Logic (動的分岐) — 回答に応じて次の質問を動的に生成。
- Typeformの「AI Logic」が2024年リリース。
- Tallyの「AI Logic」が2025年リリース。
- どちらもGPT-4またはClaudeをバックエンドで呼び出す構造と推測される。
3. AI回答要約 — 数百件の回答を自動要約・テーマ分類。
- Survicateがこの分野の先頭。NPSの自由テキスト回答を自動クラスタリング。
- SurveyMonkeyも類似機能をリリース。
注意点: AIフォーム生成は初回利用では魔法のようだが、1年使うと結局は自分で手直しすることになる。自然言語で作ったフォームはトーンが一貫しなかったり、マーケティングファネルの微妙な違いを捉えられなかったりする。AIは初稿生成器としてのみ使い、本番版は自分で磨くのが正解。
15章 · 韓国・日本のローカル選択肢
韓国
- モアフォーム (MoaForm): 最も人気のあるローカルフォームビルダー。無料プランが手厚く、韓国語UI/サポートが強い。
- Naverフォーム: Naver Workplaceユーザーに無料。社内フォームとして自然。
- Kakaoフォーム (旧 Kakao Form): Kakao Workユーザー向け。KakaoTalk通知連携。
- Typeform韓国語対応: 2024年から韓国語のトーンが自然になった。決済はUSD。
日本
- SECRETARY (CYNAPSE): 日本のエンタープライズフォーム/アンケートツール。人事・HRフォームに強み。
- カミナシ (KAMINASHI): 日本の製造業の点検・チェックリストフォーム。現場従業員の紙フォームをデジタル化。
- Tayori (PR TIMES): 日本の無料/低価格フォームサービス。FAQ・問い合わせフォーム一体型。
- Google Formsは日本でも社内フォーム1位。
なぜローカルツールが生き残るか?
- 決済インフラ。 韓国のカード決済、日本のコンビニ/銀行振込のようなローカル決済方式はグローバルフォームビルダーが対応していない。
- 言語トーン。 AI自動翻訳では捉えられない微妙なビジネストーン。
- データ所在地。 韓国・日本のデータセキュリティ法はデータが自国内にあることを要求する場合が多い。
16章 · 誰が何を選ぶべきか — 決定ガイド
個人のサイドプロジェクト
- 第一の答え: Tally(無料、無制限)。
- デザインが絶対なら Paperform 無料トライアル。
- 開発者なら Formspree + 自分のHTML。
小さなマーケティングチーム
- 第一の答え: Typeform(回答率が高い、統合が多い)。
- 回答コストが負担なら Tally Pro。
- Notionチームなら FillOut。
アンケート/市場調査
- 第一の答え: SurveyMonkey(学術標準)。
- 製品内NPSは Survicate。
開発者 / Next.js
- 第一の答え (アプリ内フォーム): React Hook Form + Zod。
- 第一の答え (Contactフォーム): Formspree、Netlify Forms、または Cloudflare Forms。
エンタープライズ HR / 医療
- 第一の答え: JotForm Enterprise (HIPAA対応)。
- 韓国: モアフォーム エンタープライズ。
- 日本: SECRETARY または カミナシ。
すでにツールがある場合
- Webflow使用中 → Webflow Forms。
- HubSpot使用中 → HubSpot Forms。
- WordPress使用中 → Gravity Forms または WPForms。
- Google Workspace使用中(社内フォーム) → Google Forms。
エピローグ — フォームという小さな宇宙
この記事を書きながら改めて感じた。「フォーム」というシンプルな言葉の裏に30年分のツールエコシステムがある。1995年のFileMakerから始まり、1999年のSurveyMonkey、2006年のWufoo/JotForm、2012年のTypeform、2014年のFormspree、2018年のReact Hook Form、2021年のTally、2025年のCloudflare Forms。
ツールが多いのは、私たちが人々に尋ねる方法が多様だからだ。1行のメールキャプチャと、50問の従業員アンケートと、決済まで含むイベント申込は同じ「フォーム」だが同じツールで解決しない。
2026年の答えもシンプルではない。ただし大きな絵は明確になった。
- 無料の覇者は Tally。
- デザインの覇者は Typeform または Paperform。
- 開発者の覇者は React Hook Form (アプリ内)、Formspree (バックエンド)。
- ホスティング親和の覇者は Netlify Forms、Cloudflare Forms。
- アンケートの覇者は SurveyMonkey、Survicate (in-product)。
- CMSの覇者はそのCMS内のフォームプラグイン。
次回フォームを作るときに5分の迷いが減ることを願って、この記事を閉じる。
参考 / References
- Typeform — 公式サイト
- Tally — 無制限無料フォームビルダー(ベルギー)
- Formspree — 開発者向けフォームバックエンド
- JotForm — 決済・HIPAAフォーム
- Wufoo — SurveyMonkey傘下
- Google Forms
- Microsoft Forms
- Webflow Forms
- HubSpot Forms
- FillOut — Notion親和フォーム
- Paperform — デザイン親和フォーム(オーストラリア)
- MakeForms
- Survicate — アプリ内アンケート
- SurveyMonkey
- Cognito Forms
- React Hook Form — Reactフォーム標準
- Formik — Reactフォーム(レガシー)
- TanStack Form
- Formspark
- Basin
- Netlify Forms
- Cloudflare Forms — Pages/Workersフォーム
- Gravity Forms — WordPressフォームプラグイン
- Formie (Craft CMS)
- MoaForm — 韓国フォームビルダー
- Naverフォーム
- Tayori (PR TIMES) — 日本フォーム
- カミナシ — 日本製造業点検フォーム
- SECRETARY (CYNAPSE)